汎用・スーパーエンプラおよび機能性樹脂の世界市場 市場動向1

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エンジニアリングプラスチックス(エンプラ)は耐熱性や機械的性質、電気的性質などを活かし、自動車やエレクトロニクス、産業機器、医療機器などの広範な分野で用いられている。エンプラ市場は世界経済の成長に伴い市場は拡大している。注目用途はHV・EVを含めた自動車、スマートフォン・コネクタ・LEDに代表されるエレクトロニクスで、これら用途は高機能・高価格グレードのエンプラが使用される傾向にある。近年は、専業コンパウンダーの買収や、中国系資本企業を中心としたエンプラ生産設備の新増設および新規参入が活発になっている。

今回は、エンプラの分野・用途別動向、地域別動向を解説する。

■汎用エンプラ・スーパーエンプラ・機能性樹脂の世界市場(37品目)

 2017年実績2022年予測2017年比
合計1,272.0万t1,515.1万t119.1%
汎用エンプラ966.2万t1,153.7万t119.4%
スーパーエンプラ72.8万t87.8万t120.6%
機能性樹脂233.0万t273.6万t117.4%
富士経済推定

汎用エンプラは、中国や東南アジア、インドを中心に市場が拡大している。中国は、モバイル端末、TV、家電など様々な工業製品の生産において世界最大であることや各種インフラの整備が途上段階であるため、汎用エンプラの需要が増加している。東南アジア、インドは経済成長や人口増加で家電や自動車の現地生産化が進んでおり、需要が増加している。今後も、中国や東南アジア、インドが市場をけん引し、自動車やエレクトロニクスを中心にインフラ(建築土木)、産業機器、医療などの幅広い用途で需要増加が期待され、今後も市場拡大が予想される。

スーパーエンプラは、耐熱性、機械的強度、耐摩耗性などが汎用エンプラより優れている特性を活かし、自動車、エレクトロニクスから航空宇宙まで用途の幅が広がっている。今後は、自動車の軽量化・電装化による需要増や電気・電子部品向けがけん引し、市場は拡大するとみられる。また、HV・EV専用部品でも需要が増加するとみられ、市場の拡大に寄与すると予想される。

機能性樹脂は、耐熱ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)とPMMA(ポリメタクリル酸メチル)が市場の大半を占める。耐熱ABSは、主要用途である自動車の生産台数が伸びていることから、需要が増加している。今後は自動車生産台数の増減と連動して安定した成長が予想される。PMMAは、サイネージやLED照明の需要増加に合わせて伸びている。今後は、自動車や建築材料などの用途で需要が増加すると予想される。

■2017年の用途別世界市場(37品目)

 汎用エンプラスーパーエンプラ機能性樹脂合計
合計966.2万t100%72.8万t100%233.0万t100%1,272.0万t100%
自動車300.2万t
(78.5)
31.124.7万t
(6.5)
33.957.5万t
(15.0)
24.7382.4万t
(100%)
30.1
エレクトロニクス234.7万t
(74.7)
24.318.7万t
(6.0)
25.660.7万t
(19.3)
26.1314.1万t
(100%)
24.7
その他431.3万t
(74.9)
44.629.4万t
(5.1)
40.4114.8万t
(20.0)
49.2575.5万t
(100%)
45.2
富士経済推定

自動車分野
低燃費化やHV・EVにより、今後も自動車部品の樹脂化が進むことが予想される。日系や欧州系の自動車はターボチャージャー搭載車の増加によりエンジンが小型化している。そのため、エンジンルーム部品も小型化しており、部品1個当たりの樹脂使用量は減少している。しかしモデルチェンジに伴いエンジンルーム部品の樹脂化が進行しており、エンプラの需要は拡大している。

EVが普及するとガソリン車(内燃機関車)のエンジンルーム部品で使用しているエンプラ需要はなくなる。しかし日本やドイツを中心にガソリン車の低燃費化を進めており、今後も自動車はガソリン車が主流であるとみられる。商用車(トラック・バス)は普通乗用車と比較して生産台数は小規模であるが、部品は大型である。そのため、同一部品であれば樹脂使用量は普通乗用車の10倍以上にのぼる。

エレクトロニクス分野
汎用エンプラのPCは、エレクトロニクス用販売比率は低いが、複合機・プリンタ筐体、LED照明部材、TV筐体等の幅広い用途を有し、他の汎用エンプラと比較して市場規模が大きく、エレクトロニクス用途の需要だけでも100万t/Y以上に上る。スーパーエンプラのPA10T・PA11T、LCP、PA9T、PCTはエレクトロニクス用販売比率が7割以上と高く、特に小型薄肉SMTコネクタやLEDリフレクタへの依存度が高い。なお、コネクタ等の小型電子部品は小型薄肉化が絶えず行われており、部品1個当たりの樹脂使用量は僅かな量ではあるが減少している。

<対象品目>
汎用エンプラ(8品目)
1.ポリカーボネート(PC)
2.変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)
3.ポリアミド6(PA6)
4.ポリアミド66(PA66)
5.ポリアセタール(POM)
6.ポリブチレンテレフタレート(PBT)
7.ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET)
8.超高分子量ポリエチレン(U-PE)
スーパーエンプラ(21品目)
1.ポリアミド610・ポリアミド612(PA610・PA612)
2.ポリアミド11・ポリアミド12(PA11・PA12)
3.ポリアミドMXD6(PAMXD6)
4.ポリアミド46(PA46)
5.ポリアミド6T(PA6T)
6.ポリアミド9T(PA9T)
7.ポリアミド10T・ポリアミド11T(PA10T・PA11T)
8.ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)
9.シンジオタクチックポリスチレン(SPS)
10.ポリフェニレンサルファイド(PPS)
11.液晶ポリマー(LCP)
12.ポリアリレート(PAR)
13.ポリサルホン・ポリフェニルサルホン(PSF・PPSF)
14.ポリエーテルサルホン(PES)
15.ポリエーテルイミド(PEI)
16.ポリアミドイミド(PAI)
17.熱可塑性ポリイミド(TPI)
18.芳香族ポリエーテルケトン(PAEK)
19.ポリベンゾイミダゾール(PBI)
20.ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
21.溶融フッ素樹脂
機能性樹脂(6品目)
28.耐熱アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(耐熱ABS)
29.透明アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(透明ABS)
30.環状ポリオレフィン(COP・COC)
31.ポリメチルペンテン(PMP)
32.ポリエチレンナフタレート(PEN)
33.ポリグリコール酸(PGA)
富士経済推定

参考文献:2019年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略

技術革新が進む自動車業界特集


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