燃料電池システムの世界市場 市場動向1

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近年各国では、ゼロミッション化の推進を目的とし水素エネルギー・燃料電池システムの普及拡大に向けた官民一体の施策が進められている。2017年以降、駆動用分野で燃料電池バス・トラックの需要が拡大している。産業・業務用分野は、コジェネレーションやモノジェネレーションとして採用されており、導入拡大の為には、既存のエネルギー購入コスト(電気代、ガス代)に対するコストメリットがポイントとなる。燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)は、燃料電池システム(燃料電池スタック、モーター、高圧水素タンクなど)を主要動力源として搭載する乗用車である。FCVは、内燃機関車と同等の航続距離、燃料充填時間、走行中のCO2やNOxの排出がないことが利点となる。一方、FCシステム、高圧水素タンクを搭載スペースが大きくなること、水素ステーションが不足していること、システム価格が高価であることが課題となっている。

今回は、エネルギーの多様化、低炭素社会の実現に向けた燃料電池システムの世界市場を用途分野別、需要エリア別に市場予測を解説する。

■燃料電池システムの用途分野別世界市場

 2017年度実績2018年度見込2030年度予測2017年度比
合計1,757億円2,184億円4兆9,275億円28.0倍
産業・業務用811億円953億円5,535億円6.8倍
家庭用394億円434億円5,985億円15.2倍
燃料電池車(FCV)198億円241億円2兆2,084億円111.5倍
駆動用296億円483億円1兆4,511億円49.0倍
その他58億円73億円1,160億円20.0倍
富士経済推定

2017年度の燃料電池システム市場は1,757億円となった。産業・業務用、FCV、駆動用が市場をけん引した。主要各国では、2025年または2030年の普及目標に向けた技術支援が続けられており、エネルギーの多様化、低炭素社会の実現に向けた燃料電池システムの普及促進が図られている。また、各用途で市場拡大に伴いシステムコストの削減が進み、今後補助金に依存しない産業自立化が実現するとみられる。2025年度に市場は1兆円を超え、2030年度には4兆9,275億円に達するとみられる。


産業・業務用燃料電池は安価な天然ガスを原燃料として用いることが多いが、燃料の多様性の特長を生かし、低炭素化を推進する目的で水素燃料やバイオガスを燃料とした導入、実証試験が進められている。産業・業務用燃料電池市場は、各国の導入支援制度やエネルギー政策に依存しており、今後も米国・韓国を中心に成長が続く見通しである。
家庭用家庭用燃料電池は、住宅で利用する電力を供給するための燃料電池システムである。日本では、「エネファーム(ENE FARM)」の名称で販売されている。国内のエネファームの補助金交付台数が、累計普及25万台(2018年7月)である。年間3万台の販売規模であり、足踏み状態である。潜在市場をカバーするには、新しくガス事業者や機器販売事業者が参入することが必要になる。
燃料電池車(FCV)FCVは2017年に新車種の投入が見られなかったため、市場成長は鈍化しているものの2018年は現代自動車が「NEXO」を投入するなど、2020年にかけて参入メーカーが増加するとみられる。また、2021年から2025年にかけては主要地域における水素ステーションの整備が進む。2025年頃から量産体制が整うことでコストダウンが実現し、普及が進む。また、水素ステーションの稼働率が上昇することで運営自立化が徐々に進展するとみられる。
駆動用駆動用は、これまで主な商品が燃料電池フォークリフトに限られていたが、トヨタ自動車が量産型FCバスを2018年に発売したほか、欧米ではFCバス・トラックでのフリート走行実証が行われている。中国では普及目標が掲げられ、FCバス・トラックの生産が急増している。2030年度には中国が市場をけん引していくと見られる。
その他その他は、ポータブル/バックアップ用燃料電池である。燃料電池システムは、バッテリーや小型内燃機関の置き換えやバックアップとして利用されるが、機器コストはまだ高く、利便性や快適性、環境性などの付加価値で採用されるものも多い。特に軍用では、大量に利用される通信機器やデジタル機器のための バッテリーを軽量化することが、高く評価されている。
富士経済推定


 2018年度見込2030年度予測2018年度比
合計2,184億円
(100%)
4兆9,275億円
(100%)
22.6倍
日本483億円
(22%)
7,497億円
(15%)
15.5倍
北米1,069億円
(49%)
1兆1,224億円
(23%)
10.5倍
欧州84億円
(4%)
9,253億円
(19%)
110.2倍
アジア548億円
(25%)
2兆1,301億円
(43%)
38.9倍
富士経済推定

主要各国では、燃料電池システムの普及に向けて技術支援が続けられており、アジア(中国・韓国)市場が急拡大していくとみられる。EVが普及している中国ではFCVの普及を促すような政策の転換がみられ、特にFCバス・トラックの生産が急増している。また、韓国では導入補助制度を背景に産業・業務用をベースに、FCVやFCバスの普及に注力している。欧州はFCVが市場をけん引する。インフラ整備、技術実証が進められた後、2020年頃から主要国で拡大していくとみられる。

参考文献:2018年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望

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