自動車用電装システムの世界市場 市場動向1

マーケット情報TOP
近年「CASC」が自動車業界の今後の鍵を握る技術を一言で言い表す言葉として急速に浸透している。「CASE」とは「Connected(接続)」「Autonomous(自動運転)」「Shared&Service(シェアリング&サービス)」「Electric(電動化)」の四つの技術の頭文字から作られた言葉である。

四つの技術は、すでに自動車メーカーを中心とした自動車産業全体で様々な開発が行われている。しかし四つの技術が進化した先、また四つの技術が統合した先の姿は、まだ明確になっていない。自動車業界は、さらなる成長が見込めつつも先行きの見通しが立ちにくい時代に突入した。

このような状況の中で今回は、自動車の分野別電装システム市場を解説する。

■自動車用電装システムの世界市場予測

 2017年長期予測
2030年予測
2017年比
合計23兆2,711億円
(100.0%)
50兆5,955億円
(100.0%)
2.2倍
パワートレイン系8兆4,454億円
(36.3%)
8兆9,186億円
(17.6%)
105.6%
HV/PHV/EV/FCV系2兆149億円
(8.7%)
19兆6,879億円
(38.9%)
9.8倍
走行安全系4兆3,231億円
(18.6%)
8兆7,476億円
(17.3%)
2.0倍
ボディ系2兆9,315億円
(12.6%)
4兆5,457億円
(9.0%)
155.1%
情報通信系5兆5,562億円
(23.9%)
8兆6,957億円
(17.2%)
156.5%
富士キメラ総研推定

2030年の市場は2017年比2.2倍の50兆5,955億円が予測される。現状はパワートレイン系が35%前後、情報通信系がが25%弱を占めている。今後は各国・地域でHV/PHV/EV/FCV系の搭載が増えるため、2030年には40%弱を占めるようになるとみられる。一方、パワートレイン系は、アイドリングストップの48VマイルドHVへの置き換えが進むため、長期的には縮小が予想される。

伸びが期待されるのは48VマイルドHV、PHV、EV、自動運転、ドライバーモニタリング、車外通信(セルラー方式/DSRC方式)などの各システムである。特にHV/PHV/EV/FCV系の48VマイルドHV、走行安全系の自動運転やドライバーモニタリングは現状の市場規模は小さいが、年平均成長率(2017年から2030年)が50%を超えると予想される。

■システム構成部品の変化に関する見解

 今後の見通し
パワートレイン系・当該システムは、エンジンの燃料状態を検知するためのセンサーや、小型モーターの搭載数の増加が目立つ。パワートレイン系システムの燃費向上と排ガス規制対策を行う上で、センサーやモーターを使用した電子制御システムや電動システムの採用が不可欠である。

・EV化を含む電動化に対するニーズは高まっているが、自動車産業全体を考えれば、パワートレイン系システムを搭載した車両は当面増加を続けることが見込まれる。パワートレイン系システムは今後も高効率化や環境負荷低減に向けた継続的な技術開発が要求される。従って今後もセンサーや小型モーターの搭載数は増加傾向が続くものと見込まれる。
HV/PHV/EV/FCV系・当該システムの特徴は、大型のモーターと二次電池の搭載である。そのためモーターと二次電池の制御に必要なデバイスの使用が必須である。

・今後環境負荷を低減し各国・地域の環境規制を満たすには、当該システムを搭載した車両の増加は不可欠である。一方、利便性を向上していく上ではモーターやバッテリーを高精度に制御していくことが必要となる。そのため、制御に必要なデバイスが今後も安定的に使用し続けられる。今後搭載量が増加するリチウムイオン二次電池の電流異常を監視するデバイスや、パワーデバイスを搭載した高出力インバーターの温度管理に必要な温度センサーなどが注目される。
走行安全系・当該システムでは、車両の状態を把握する慣性センサー、および車の周辺を検知する周辺監視センサーが搭載される。慣性センサーは加速度センサー、角速度センサーなど、周辺監視センサーは超音波センサー、レーダーセンサー、レーザースキャナー(LIDAR)、車載カメラなどである。

・周辺監視センサーは、搭載されるADAS・自動運転システムのレベルが上がるとともに、搭載数が増加していく。ここ1~2年、ADAS・自動運転システムを搭載した車両が急速に拡大することで周辺監視センサーの市場は急拡大しているが、一方で1システム当たりのセンサー搭載数はレベル3車両の実現に対して現状は積極的な自動車メーカーと慎重な自動車メーカーに分かれている。今後5~10年を見通せば自動車1台当たりの周辺監視センサーの搭載数は確実に増加すると予想される。
ボディ系・当該システムでは、特に小型モーターの搭載が目立つ。従来の手動操作からスイッチによる電動制御化に置き換わることで、小型モーターによる制御が必要となる。

・今後はボディ系システムの自動制御が主流となっていくことが予想される。そのためにはより精密な制御が必要となるため、小型モーターの数量も増加する。ただし小型モーター以外の方法で、低価格かつ簡易に駆動する構造を実現する技術開発も行われており、システムによっては小型モーター以外の部品が増加することも考えられる。

・なお快適性を高めるうえで、スマートフォンなどの端末を使用して外部からボディ系システムを制御するニーズも高まっている。そのためボディ系システムと通信モジュールを連携させ、外部から制御できる機能の搭載が進むと予測される。
情報通信系・情報系システムの特徴は、情報表示量の増加に対応したTFTの採用、搭載数増加、大型化、および統合化である。今後は電動化、自動制御化、コネクテッド化により、表示すべき情報がさらに増加していくため、表示デバイスの増加、大型化、統合化はさらに進展していくことが予測される。

■調査対象品目(21品目)

パワートレイン系エンジンマネジメントシステム、アイドリングストップ、変速制御システム
HV/PHV/EV/FCV系48VマイルドHVシステム、HV/PHVシステム、EV/FCVシステム
走行安全系ブレーキ制御システム、ステアリング制御システム、ADAS・自動運転システム、エアバッグシステム、タイヤ空気圧警報システム、ドライバーモニタリングシステム
ボディ系ボディ統合制御システム、エアコンシステム、ヘッドランプシステム、電子キーシステム
情報通信系車載メーターシステム、IVIシステム、HUD、車内外通信システム(セルラー方式/DSRC方式)、車内ネットワークシステム
 

参考文献:車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2019(上巻:システム/デバイス編)

技術革新が進む自動車業界特集


戻る
エンプラ関連情報サイト エンプラネット トップページ