LCD・OLED関連部材の世界市場 市場動向2
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■フォルダブルディスプレイとフォルタブル用カバー材料世界市場
2019年見込
2018年比
2024年予測
2018年比
フォルタブルディスプレイ
(フォルタブルAMOLED)
65万枚
―
3,330万枚
―
フォルダブルカバー材料
34億円
―
455億円
―
透明ポリイミド(PI)
フィルム
34億円
―
392億円
―
フレキシブルガラス
僅少
―
63億円
―
富士キメラ総研推定
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【フォルダブルディスプレイ(フォルダブルAMOLED)】
2019年にSamsung El.「Galaxy Fold」やHuawei「Mate X」など、AMOLEDを採用した見開き型のフォルダブルスマートフォンが発売された。これによりフォルダブルAMOLED市場が形成される。2020年にはSamsung El.の新機種フォルダブルスマートフォン投入により市場は拡大予測される。フォルダブルAMOLEDを採用する最終製品は、スマートフォン以外にも、タブレット端末、ノートPCなどが想定されている。端末需要の増加とフォルダブルAMOLED市場の拡大には、フォルダブルを生かせるアプリケーションの開発なども重要とみられる。
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【フォルダブル用カバー材料】
フォルダブルディスプレイのカバー材料に使用される透明ポリイミド(PI)フィルムとフレキシブルガラスを対象とする。
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2019年に発売されたフォルダブルスマートフォンには透明PIフィルムが採用されており、市場は34億円が見込まれる。透明PIフィルムは耐久性や光学特性に課題があるため、折れ筋が発生せず筐体が歪まないフレキシブルガラスの採用も検討されている。しかし、フレキシブルガラスは割れに対する強度や屈曲半径の小径化が課題であり、当面は透明PIフィルムが中心になるとみられ、市場は2024年で透明PIフィルムが392億円、フレキシブルガラスが63億円と予測される。
■QD関連世界市場
2019年見込
2018年比
2024年予測
2018年比
合計
200億円
936億円
7.1倍
QDシート
200億円
152.7%
407億円
3.1倍
QDインク
―
―
529億円
―
富士キメラ総研推定
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QD(Quantum Dot/量子ドット)は、特殊な光学特性を持つ半導体のナノ粒子であり、ディスプレイに応用することで広色域を実現できる。材料はセレン化カドミウムが代表的だが、カドミウムは重金属であるため環境規制に抵触するケースが多く、カドミウムフリー材料の開発が重要になっている。
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【QDシート】
LCDのバックライトユニットに採用されるQDシートを対象とした。高付加価値LCD向け材料であり、QDシートをバックライトに組み込んだQD-LCDが量産され、TVを中心に採用されている。Samsung El.のQD-LCD(QLED)TV向けを中心に需要が増加している。Samsung El.のほか、Vizio、TCL、Hisenseなど中国メーカーもQDシートを採用したTVを投入しており、2019年の市場は200億円が見込まれる。QDシートの低価格化が進んでいることから、2020年はSamsung El.がQDシートを採用したTVの展開をミドルレンジまで広げるほか、HuaweiからもQDシートを採用したTVの投入が予定されており、QDシート市場の拡大が続くとみられる。今後は、中国TVメーカーによるQDシートの採用が増えるとみられるが、Samsung El.はQDシートを使用しないQD-OLEDの開発を進めており、2022年以降は市場の伸びは落ち着き、2024年には407億円が予測される。
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【QDインク】
QDをバインダー樹脂に分散したインクジェット用材料を対象とした。光源の青色光を赤色光や緑色光に変換させる材料として、LCD、OLEDとマイクロLED向けでの採用を想定した開発が行われている。2019年は開発用のサンプル出荷のみであり、市場は形成されていない。QD-OLEDの開発が難航しており、量産技術の確立には時間を要するとみられることから、QDインクの市場形成時期は2022年ごろになるとみられる。
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また、QDマイクロLED向けの市場も立ち上がると予想されるが、マイクロLEDはQD-OLED以上に量産技術の確立とコストダウンが課題になっており、まずは非コンシューマー向けの展開が中心になるとみられる。2022年以降QD-OLED、QD-マイクロLEDの拡大とともに材料需要が喚起され、2024年にはQDシートの市場を上回る529億円が予測される。
参考文献:2019 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望 (下巻)
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