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V2X(自動車用充放電器)とは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)などの搭載蓄電池から、建物や電力系統に対して電力供給を行うためのシステムである。自動車用充放電器は採用施設に応じて、V2H(Vehicle to Home:住宅向け)、V2B(Vehicle to Building:業務施設向け)、V2G(Vehicle to Grid:電力系統供給向け)に分類されるが、それらを総称してV2X(Vehicle to X)とする。
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需要は住宅向け(V2H)が中心であり、スマートハウスなどの高付加価値住宅のオプション設備や環境・防災意識の高い層向けの環境付加価値設備・非常用電源として採用されている。
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2011年の東日本大震災以後、補助金制度の後押しや自動車メーカーの積極的な拡販により市場は拡大してきたが、2016年度は補助金が打ち切られ需要が急激に減少した。2017年度からは徐々に販売を増やし、2018年度は北海道胆振東部地震などの大規模自然災害が発生した影響によりBCP対策用途として需要が高まった。また、各メーカーがZEH住宅などに対するV2Hの提案に注力したことから、新築住宅で採用が増加した。
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2019年度は、EVやPHVの販売が伸び悩んだものの、前年度から引き続きBCP対策用途で伸びたほか、卒FITによる太陽光発電自家消費ニーズの高まりにより、V2Hシステムの需要も増加し市場は拡大した。
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2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により既築住宅や既設太陽光発電システムを保有する住宅への営業展開が一時的に滞ったことやユーザーが設備投資を敬遠していることから、市場は縮小するとみられる。
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今後は、EV・PHVのさらなる普及拡大に伴い保有率が増加すれば、V2Xの導入を検討する機会が増えていくと予想される。また、現状の住宅向けだけではなく、業務・産業施設向けでも災害時に備えたBCP対策用途や太陽光発電システムの自家消費用途での導入増加が期待され、市場は拡大していくとみられる
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